一軒家のランニングコスト
家のランニングコストといえば、光熱費や税金、保険くらいは思いつくでしょうか。
実際には、それ以外にも建物や設備を維持するためのコストがかかります。
賃貸であれば、設備が壊れたら大家さんに言って直してもらうこともできますが、自分が所有する建物の場合には誰も直してくれません。
また、マンションであれば修繕積立金というもので建物は直してくれますが、自宅の設備は自分で直す必要があります。
でも、戸建てでも注文住宅でも、実際に一軒家を持った場合には全てを自分で維持していく必要があります。
特に注文住宅は、自分でその外装や設備をも選択していくことができるので、自分で選んだもので自分の首を絞めるというのは避けたいものです。
隠れランニングコスト
特に隠れているわけではないのですが、気づきにくいランニングコストというものがあります。
1つは、何か壊れなくともしなくてはならないメンテナンスです。逆にいえば、壊れる前にやらなくてはならないことです。
もう1つは、ランニングコストが安そうに見えて、壊れると高くつくものです。
外壁の塗り替え費用
これは、何か壊れなくともしなくてはならないメンテナンスです。
建物の計上や坪数、外壁がどのような素材でできていて、それをどのように塗り替えるのかによって費用はかなり異なりますが、実際には100万円前後が10年毎にかかるといっても良いでしょう。
つまり、100万円が4回でトータルコストが400万円、月額(ランニングコスト)換算で8000円程度になります。
i-smartなどで使われているハイドロテクトタイルなどは、メンテナンスフリーなので塗装などは必要ありませんが、目地などの防水メンテナンスが必要と言われていますので、足場とその作業代のみとなります。
トータルコストでいけば、1/2~1/3程度に抑えられるので170~200万円程度、月額(ランニングコスト)換算で3500~4100円程度になります。
設備の故障、買い換え
生涯使える設備というのはなかなかありません。
ですからまず、壊れることを前提に考えるという頭の切替が必要です。
その上でここでは、ランニングコストが安そうに見えて、壊れると高くつくものという視点から考えてみましょう。
まず、近年に新しく開発された設備というのは怪しいです。
たとえば、IHはガスキッチンも歴史が浅いので、やはり壊れやすいといえます。
もちろん、古くから使われている技術を改良したものなどは、耐久性なども上がっているので良いと思います。
そこを見極めるのはなかなか難しいですが、原則、そのような判断をするのが良いと思います。
たとえばエコキュートやエネファーム、エコワンやエコウイルといった、エコエコな名前のついた給湯・発電システムなどは慎重になった方が良いと思います。
本来はガスボイラーでエコジョーズと呼ばれる設備が一般的で、マンションや賃貸などはほぼこうした瞬間湯沸かし器(給湯器)となっています。
必要な時に必要なお湯を沸かすという仕組みで、とても普及されている設備です。
そうした設備は利用年数も長いことから故障に対しての改良もされてきていますし、故障したとしても大量に使われている部品ですから安いのです。
しかし、最近登場してきたこうした設備は、そもそも何十年も前に登場したものではありませんので、耐久年数も理論上の数字で検証ができていません。
エコキュートの本当のコスト
一般的には設備は10年と言われていますし、住宅の保証も10年ほどなのですが、たとえばエコキュートなどで使われているヒートポンプはよく故障すると言われています。
だいたい5~10年くらいの寿命で、修理が40万円程度と言われています。
また、エコキュート全体も10~15年が寿命で、70万円くらいと言われています。
つまり、最長15年でヒートポンプが1回、全交換が1回発生すると、110万円程度になります。
40年のトータルコストで初期導入を含めると、初期+2回交換の最低330万円、初期+3回交換の最悪440万円くらい必要となるわけです。
月額(ランニングコスト)換算で6800~9100円ほどになります。
一方、ガスボイラー(エコジョーズ)なら、一式で20万円程度。
だいたい20年は持つと言われていますので、1/5以下の費用(初期を含めて3回の60万円)になります。
月額(ランニングコスト)換算で1200円ほどになります。
この月額(ランニングコスト)換算で5000~8000円程度の金額差がありますが、電気代やガス代がこれほど安くなるとは思えません。
また、エコキュートは深夜電力を使うことを前提としており、深夜電力の発想の源である原子力発電の稼働によっては電気代が上がることも考えられます。
(かつ、何時間も毎日深夜に動かし続けるのが本当にエコか?という疑問はあります。。。騒音問題もありますから。)
ランニングコストを上げてしまう、イニシャルコストの例
イニシャルコストのかけ方によってはランニングコストを上げてしまう可能性もあります。
たとえば、以下のようなものです。
建築面積が増えれば、固定資産税が上がります。
建築費用が上がれば、保険料が上がります。
電気の数が増えれば、電気代が増えます。
すべてが必ずしもそうといえない部分もありますが、何はともあれ、増えれば増えるということはよくあります。
また、間取りを作る時にも注意が筆ようです。
吹き抜けを作ると、一般的には光熱費が上がります。
更に、吹き抜けの電気などが故障すると、それを交換するのに足場を設置しなければならないことがあり、その費用はかなりかかるといえます。
あたりまえといえばそうなのですが、間取りを追い求めると実際にはランニングコストに跳ね返ることがあります。
実際に間取りをつくる場合には、それを採用することで影響するランニングコストについては、逐一、確認していくことをお勧めします。
建替をも見据えたイニシャルコスト
建替をする場合、解体費というものが必要になります。
実際に自分が建てた家も、いずれは壊すことになります。
たとえば木造の家は壊しやすいですが、鉄骨の家は壊しにくいです。
地下を作れば更に壊しにくく、上に積み上がるほど壊しにくいです。
また、周辺環境も、作る時より家が増えればその分だけ壊すための対策が必要になります。
自分の子どもに家を残したいという考えもある部分で共感できますが、選ぶのは子どもです。
実際、自分も40年前の実家があっても、それを再利用しようとは考えませんでした。
なぜなら、その時代その時代で家に求めることが異なるからです。
そして、身長と関連しかねない天井の高さ、断熱性能、耐震などの環境や規制など、様々な要因が40年も経つと変わります。
ですから、自らの人生で使い切るというくらいの考えであっても良いと思います。
そのためには、後片付けのしやすい家、という考えがあっても良いかと思います。
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