2015年、太陽光パネル搭載・発電の採用を冷静に考える ~本当に投資回収可能か?

太陽光パネル

太陽光発電は本当に採用すべきでしょうか?

昨今の環境変化から、それまで無条件で太陽光パネルを載せても大丈夫な状況が一変しました。
買取価格が下がり、装置の寿命が来るまでの間に初期投資の回収も難しくなりつつあります。

一体、誰のための太陽光発電なのか?ということを冷静に検証してみたいと思います。

環境に左右される太陽光発電事業

2015年現在、家づくりにおいて太陽光発電を採用すべきかどうかの転換期にあります。

これまで、家を建てるなら太陽光パネルを載せようと、無条件に考えていました。

しかし、環境がどんどん変わりつつあります。

売電価格、条件、法律、技術の進化、金利、為替・・・・

様々な状況が変化する中で、一体、何を基準に採用/不採用を決めれば良いのでしょうか。

太陽光発電に短期的な恩恵はない

太陽光発電の恩恵とは、簡単にいえば電気代の削減売電による収益です。

余剰電力によって電気代は削減されますし、売電によってお金は入ってきます。

しかし、それらは当然ながら、太陽光パネルなどの装置のローンに充てられます。

ですから、初期投資を回収するということがまず第一になります。

その初期投資を回収している間は、正直、何の恩恵も受けられません。

電気代を削減したとしても、結局、初期投資の回収のための資金づくりになるだけです。

つまり、恩恵とは、初期投資を回収した後の収入であり、そこまでは借金の返済というのが現実です。

太陽光発電の恩恵は得られるか?

太陽光発電によって得られる恩恵は、初期投資の回収後、つまり速くて10年後くらいから始まります。

しかし、売電価格が下がり、為替変動などで設備代が上がり、金利も上昇してくるとなると、10年では回収が不可能になります。

昨今の環境変化によって、だいたい13年くらいの回収が一般的になってきている状況にあります。

では、13年後の世界はどうなっているのでしょうか?

これは誰にもわかりませんが、これまでの一般的な私たちの経験からいろいろな想像をすることができます。

10年を越すと、発電効率が落ちると言われています。

そして、10~15年くらいで装置の寿命が来るとも言われています。

日々、発電効率(変換効率)が高まっており、同じ面積でも発電量が増えてきています。

円安などで物価は上がっているものの、一方で製造原価は下がりつつあります。

この13年で社会はどう変わったでしょうか?

想像もできないほど、環境が変わっています。

iphoneが出てまだ8年ですから、どんどん環境は変わっていきますね。

太陽光発電はロマン?

東日本大震災が起き、原発の問題が起き、電気への関心が高まりました。

太陽光発電はエネルギー自給という憧れでもあります。

そしてHEMSや助成金制度がこの太陽光発電を普及させました。

でも、現状はどうでしょうか?

少し冷静に現実を見る必要があると思います。

発電と使用量のバランス

一般的な生活をしている限り、年間の電気を発電するために必要な太陽光パネルはかなりの量になります。

家をまかなうだけの発電パネル量を搭載すると、それだけ初期投資の回収が必要になります

が、電気代の削減や買取で行ってもかなり先の話になります。

もう少し、発電効率(変換効率)が高くなると良いのですが。

毎日がキャンプ

電気の使用量を極端に下げれば、もちろん発電だけで暮らすことができるでしょう。

でもその使用量はとても低く設定しなければなりません。

そうしたことが楽しめれば良いですし、家族の理解が得られれば良いでしょうが、日常生活がキャンプのようになります。

夜の電力には蓄電池が必要

太陽光の電力の恩恵は昼間だけです。太陽が沈めば発電できません。

ですから、蓄電池が必要となります。

この蓄電池が高額であるため、太陽光パネルやパワコンだけではなく、蓄電池の回収も必要になってきます。

深夜電力の正体

深夜電力は安いと言われていますが、それは何故でしょうか?

それは、原子力発電などのように止めたり稼働させたりを頻繁にできない発電によって、使わなくても電気を発電せざるをえないためです。

需要が多いのは昼間であり、深夜は供給過剰になるため電気代が安くなるわけです。

この深夜電力を使って給湯装置でお湯を沸かしたり、蓄電池に電気を溜める方が、昼間に使うよりもお得になるわけです。

ですから、全量買取を選ぶ人が多いのです。

ですが、このまま原子力発電が止まったままだと、深夜電力は値上がりするでしょう。

逆に、安い電力が必要でその需要が増えると、原子力発電が必要になります。

さて、このような状況で自分の家の自分の電気を太陽光発電でまかなおうというのは、ロマンにさえ思えてきます。

誰のための太陽光発電事業?

結局、余剰電力買取でも全量電力買取であっても、十数年での初期投資回収となりその段階で装置の寿命がやってくるということは、結局、太陽光発電で得られる恩恵は誰にあるのでしょうか?

装置を付けた人にとっては、初期投資を回収できる以上の多くは望めません。
十数年後に壊れないことを祈るしかありませんし、そこで動いていたらラッキーというのが本音です。

その間に発電効率が落ちたり、気候変動があったり、壊れたりしたらどうなるのでしょうか?
何かしらの保険はあるにせよ、すべてがカバーされるわけでもありません。
保険適応外となれば、単なる屋根になるか装置を外すコストがかさみます。

つまり、誰がこの事業で儲かるのでしょうか。

太陽光パネルを作っているメーカー
それを推進しているハウスメーカーや設置事業者
太陽光発電に関する装置のローンを引き受けた銀行
低額でエネルギーを買い取れる電力会社
パネルの保証を行う保険会社

冷静に考えれば考えるほど、太陽光発電で電気代を安くしよう!儲けよう!という話のつじつまが合わなくなってきます。

もちろん、未来のことは誰にもわかりませんし、ロマンも大切なことです。

ですが、世間のいろいろな勧誘に冷静になることも大切ですし、タイミングはとても大切だと思います。

追伸:太陽光発電は新築時に見送り、値段が下がってからまた載せることにしました!

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