栽培の間引きから学ぶ、成長と収穫の環境づくり

育てる暮らし

野菜などを育てるときに大切なことの1つに、「株間を開ける」ということがある。

ひとつひとつの苗の距離を保つことが収穫量に大きな影響を与えるという意味だ。

それはなぜか?

もし満員電車のように苗が混みいって生えていたらどうなるだろうか。

根から考えてみよう。

植物は水や養分を根から吸い上げる。
もし込み入っていたら、お互いに取り合うことになる。
土の中も根が密集し微生物やミミズなどが住める環境ではなくなり、また水や養分を蓄えられる土壌ではなくなってしまう。
見えない土の中は根ばかりになり、プランターでは「根詰まり」と呼ばれる現象で根が腐ってしまうこともある。

一方で見えている葉も、密集していると太陽の光を充分に受けることができなくなる。
植物にもその差はあるが、日光を浴びて光合成をして水を養分に変えることで成長をする。
葉が陽に当たらなければ、チカラに変えていくことができないということになる。

畑でもプランターでも、苗を多く植えすぎてしまうことがある。

種まきをして目が出てくると、どうしても「もったいない」「せっかく芽が出たから」といってそのまま成長をさせてしまい、密集させてしまうことがある。
結果的に、うまくいかないことの方が多い。
うまく成長しなかったり大きな実がつかなかったり葉が茂って病気にかかったり虫の住処となって被害をうけたり…と、良いことは何もない。

種まきから発芽した苗を抜いて、成長できるように環境を整えていくことを「間引き」という。
「間を空けるために引いていく」ことで、ひとつひとつの苗が充分に成長できるようにする。
株間が空いて、充分に成長できるスペースを取ることは、とても大切なことだ。

これは人間にも当てはまる。

自由のきかない密集された閉鎖的な空間で、何か大きなことを考えることは難しい。

会議室のような密閉空間で視線が数メートルしか行き届かない中で、見えない未来を「観る」ことができるだろうか。
身動きの取れない鶏舎の中で卵だけ生まされている養鶏場のような環境で、心身は健康でいられるだろうか。

きっとそれは難しい。

成長に充分な環境を整えることが、いかに大切であるかということは、たとえ間引きであっても充分に理解できる。

ただそれを感性で理解するには、土壌を整え、種をまき、発芽をさせてから間引きをし、その後、その結果がどのように収穫へと影響するかを見届けることでしか得られない。

本を読んでも、人から聞いても、理屈で理解できたとしても、やはり感性は養われない。

時間的、空間的、循環や影響といった、複雑に絡み合う状態は、ビジネスでも私たちが住む世界も同じなのだから。

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